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私が孤軍奮闘を始めた経緯を語るに当たって、外道鬼畜な我が両親を語らずにおくことは出来ない。
一ヶ月前にこの古風な・・・・・・言いかえるならボロボロの・・・・・・安アパートに引っ越して来る前、私は還暦前後の両親と三人暮しを営んでいた。
・・・このことから分かるように、私は独り身である。
大学を出、仕事を始めてしばらくの間、両親は私が・・・・・・高校を卒業すると同時に県外へ逃げて行った三歳年下の弟と違い・・・・・・家に留まったことを喜んでいたのだが、私の歳が30を数えはじめた頃からだんだんその態度を変えはじめた。
曰く、その年で所帯も無いどころか女っ気すらないとはどういうことだ、と。
どうやら両親は、私が何らかの理由で意図的に女性を遠ざけているのだと信じ込み、私を説得せんと試みた模様であった。
だが私は反発した。否、諌めたと言うべきだろう。
私が女性と親密になれないのは伊達や酔狂ではないのだから。そう、私は致命的なまでに女性との関係の構築が不得手なのだ。
ビジネスのクライアントや取引先としての関係構築が、私の限界だ。
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