カップ麺を侮る勿れ

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 彼を見て私の青春時代を少し思い起こしてみたが、そのあまりの醜さにコンマ以下2秒で回想を終わらせた。  臭いものには蓋をするのが日本人なのだ。    ・・・取り返せない若かりし時へ後悔を積もらせながら、私は少し背を丸めて勤め先へと歩いていく。・・・歩いていくと言っても、 「着いた・・・」  本当に、すぐそこなんだけれども。    私の目の前にあるのは周りの建物から頭一つも四つも抜きんでている高層ビルだった。  ・・・いくらここが"街"に分類可能な地区とは言え、その正体は田舎であって、こんなビルを建てた奴はチャレンジャーなのだなあと私は常々思っている。  そしてそんなビルのテナント・・・・・・しかも最上階の一角をわざわざ買い取るウチの社長にも呆れている。
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