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「えーと…あ、ここで良いか」
屋敷は広い。
だが住んでいるのは数える程しか居なかった。
空いている部屋なんて幾らでもあった(もったいないんだよな)。
ちょうど俺の部屋の隣が空いていたから、その部屋のベッドに少女を寝かせた。
「………」
さっきは良く見ていなかった少女を見てみる。
少女の髪は輝く金色。目を閉じているから瞳の色はわからないが、肌の色は白くて外にあまり出ないのが想像できた。
外見からして10代ぐらい。
そんな少女が森の中にあるこのボンゴレ邸に来るだろうか。
うーんと頭を悩ませていると、少女の瞳がゆっくり開いた。
──────…!
瞳を見て、驚いた。
─少女の瞳には、光など存在しなかった。
その深い海底の様な瞳には、太陽の温かい光も月の優しい光も、ましてや彼女自身の金髪の輝きすら
彼女の瞳には、映っていなかった。
「 」
「…え…」
少女は手を使って俺の居場所を確かめると、口をぱくぱくと動かした。
話したいが、声が出ない。
(少女は)
(何を伝えたいのか)
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