過去の過ち

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 前に一馬に、友達とセックスなんか出来るのかよ、と嫌みったらしく問われたことがある。答はノーだ。  行為に至るまでは、友達だろうとなんであろうと、恋人を演じれるが、抱くとなると話は別だ。仲が良い分、別れる時に、後々面倒になる。  だから俺が、そういう行為をするのは、他校のやつか、学校に通ってないお姉さんやお兄さん、言わば社会人。中には面倒臭い奴もいるが、大抵の人は楽に別れられる。俺が同じ学校の奴でそういう行為に至るのは、和泉だけだ。  なんでかって言うと、それは和泉の性格に問題があった。和泉の身体には無数の切り傷がある。それは俺が付けたものではないし、和泉の周りの不特定多数のものが付けたものでもない。和泉が自分自身で付けたものだった。  俺がそれを知ったのは、一年程前。放課後の誰も居ない教室で和泉が自分の腕を切っているのを見つけた。それを見た時の俺は、ただただ怖くてこの空間から逃げだしたかって、教室端にある扉に向かおうとした時に、後ろにある机にぶつかって、転びそうになった。転びはしなかったが、ガシャンなんて大きい音を立てたもんだから、和泉に俺の存在を気付かれてしまった。  
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