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「あっくん? 僕の話し聞いてる?」
「あ、ごめん。考え込んでた」
昔のことを思い出してる内に意識が別の所にいってたみたいだ。
俺が話しを聞いてなかったことに腹がたったのだろう、和泉がむぅ、と頬を膨らませた。
しばらくだらだらと、たわいもない話しをしていたら学校に着いた。通学路でもそうだが、俺は男女共なくよく挨拶されるので、挨拶を返してたら、横にいる和泉が不機嫌になっていく。ああ、これが悠也だったら、すっごく可愛いんだろうな。
悠也だったら、悠也なら、そんな言葉が能内を支配する。駄目だ。今は和泉のことを考えないと。
「あ、悠ちゃんといっちゃんだ」
声を張り上げてる和泉の視線の先には、仲よさ気に歩く悠也と一馬の姿。悠ちゃんは言わずとも分かるだろう、悠也のことで、いっちゃんは一馬のことだ。和泉いわく、一馬の"一"をとっていっちゃん、なんだそうだ。
「ああ、そうだな」
「あっくんは良いの?」
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