‡失う‡

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蘭は、どちらかといえばおとなしい方だった。 でも、普通にケンカもするし、恋愛だってウブではない。 毎日、普通に友達と接する。 心にぽっかりと空いた穴を、まるで必死に隠すように… 話すときも、遊ぶときも、授業中も、蘭は蘭でないのだ。 だれも気づいていないが--いや、蘭でない<蘭>を、本物と認識しているのかもしれないが--。 蘭はこの一年間、本当の自分を、本当の蘭をだしたことがない。 いや、一度だけあったかもしれないが、それはまた別の話し…。
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