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川瀬はプロのギタリストになりたくて、このクラスに入ったんだって。
成績は…まぁ、ギリギリだったらしいけど。
別のクラスにいる同級生からは、私達の教室の前を通る度に『何でアホなあいつが』とか『絶対俺の方が成績良かったのに』とか言われてる。
けど、川瀬はそんなヤジを飛ばされてもめげずに『ギリギリでも入ったもん勝ちや』って、いつも笑顔で笑い飛ばしてるんだよ!
そこらへんは、すごいなって思う。
私だったら、絶対に耐えられないだろうし。
ーぱちぱちぱち…
「何だかんだ言って、実は川瀬も馨様のファン…だったりして。なんて。」
歌い終えて早々とギターを直す彼に向かって、冗談っぽく言うと
「あ、あほか!!俺が好きなんは馨やなくて…」
と、顔を赤くした。
一瞬のうちに、耳まで赤くなっている。
「川瀬?」
「もうえぇわ、あほ。」
川瀬は乱暴に椅子を蹴って、自分の席に戻ってしまった。
川瀬…ごめんね。
貴方が好きなのは馨様じゃなく、私だって知ってるのに…
入学式の日。
川瀬は私に告白をしてくれた。
『俺、鏡先輩に一目惚れしてもうてん。…良かったら付き合って下さい!!』
『川瀬くん…』
今まで何度か告白をされたけど、あんな風に真剣な表情で言ってくれた人は初めてだった。
だから…凄く嬉しかった。
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