新任。

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呟くような声で言うと、川瀬が勢いよく立ち上がって 「き…木村 馨!?」 と、叫んだ。 詩先生はそこまで知名度のある漫画家ではない。そのせいか、馨という名前を出したのは私と川瀬だけだった。 何も言葉が出て来ず、ただ呆然と見つめていると 「きゃぁあ、かっこいぃ!!」 「やばくない!?あの顔、もろタイプなんだけど。」 と、クラスの女子達が騒ぎ始めた。 …さすが馨様。 いや。馨様じゃないんだけど、馨様に似ているだけの事はある。 女生徒は、どこを見ても完璧な本条先生に熱い視線を送っていた。 でも、ちょっと待って…ありえないよね? 今まで、所詮は漫画の中の人だ。現実に居るわけがないって思ってたのに、そんな人が目の前にいるなんて… 信じられないよ。
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