新任。

5/15
前へ
/30ページ
次へ
―ドキッ…― なな、何ときめいてるのよ、私!あの人は薫先生であって馨様じゃないんだよ!? ときめく必要なんて…ないのに… ―ドキッ…ドキッ…― 駄目だ。 先生から目が離せない。 容姿も仕草も…馨様そのものだから。 私の思いに気づいたのか、立ったままだった川瀬が椅子を蹴って教室の扉を開けた。 教室内がざわめく中、心配になった私は立ち上がって川瀬を追いかけようとする。 「ちょっと、かわ…」 しかし、私よりも先に先生が彼の名前を呼んだ。 「川瀬 梁。世界一のギタリストを目指す、大阪出身の1年生。だよね?」 川瀬はゆっくりと振り返って、先生をみた。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

43人が本棚に入れています
本棚に追加