新任。

9/15
前へ
/30ページ
次へ
―放課後。 部活に向かおうと、鞄の中に漫画をしまっていると後ろから 「鏡 瑠衣。」 と名前を呼ばれ、私は勢い良く振り返った。 「馨様。」 そこには馨様…に似た、本条先生が立っていた。 先生は軽く笑いながら近づいてくる。私はハッと我に返って、頭を下げた。 先生は馨様のことなんて知らないかもしれないのに…こんな呼び方をしちゃうなんて。 やってしまった。 「ご、ごめんなさい!!私…今のは、えっと」 「薫様、か。先生って呼ばれるよりも優越感に浸れるよ。…なんてな。」 そう言いながら、先生は私の隣の席に座った。 本条先生は、見れば見るほど馨様に似ている。 切れ長の目。 筋の通った鼻。 薄すぎない唇。 少し長めの髪の毛。 スラッと長い足。 どこを見ても、馨様に劣らない完璧な容姿だ。 漫画から飛び出してきたのではないか?と思ってしまうほど…本当にかっこいい。 そんな風に思いながら先生を見ていると、先生も私の顔を見つめ始めた。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

43人が本棚に入れています
本棚に追加