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「か、がみ…止めなさい!!」
勢いよく振り返った先生は、強く私の両肩を押した。
「ご、ごめんなさい…!」
私は先生から離れ、俯く。
まさか、あんな行動を取るなんて…
自分がやったことだけど、あんな大胆なことをしたのは初めてだったから、混乱してしまう。
どうしよう。
顔…あげられないよ。
だんだんと顔が熱をおびてきた。
触らなくても分かるくらい…体まで熱くなってきた気がする。
私は咄嗟に腕で顔を隠してから頭を下げ、後ずさりながら教室を飛び出した。
―その日の夜。
私は翔子に電話をかけた。
先生に熱い視線を送っていた彼女に、今日の出来事を話せるわけがない。
だけど、とにかく今は気持ちを落ち着けるためにも誰かと話したかったのだ。
『どうしたの?瑠衣から電話かけてくるなんて…珍しいじゃん。』
「んー。とくに理由はないんだけど…なんとなく、翔子の声が聞きたくなって。」
『はは、何それ。気持ち悪っ。』
「ひどーい!!」
何気ない、いつも通りの会話を1時間程度してその日は電話を切った。
いつも通りの会話だったけど、いつも以上に心は落ち着いて…いつも以上に翔子の大切さを思い知った夜だった。
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