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「またこんなところで….全く。」
風邪を引くからダメだって、いつも言っているのに。
疲れているのは分かるけど、ソファーで寝てしまっては取れる疲れも取れないに決まってる。
私は溜め息をつき、お母さんを起こさないように毛布をかぶせて、小声で「いってくるね」と言って家を出た。
―学校。
時間が早かったからか、教室には誰もいなかった。
「久々の一番乗りじゃん。」
誰もいない教室。
何だか楽しくなって、鼻歌を歌いながら教室の中に入った。
「おはよう。ご機嫌さんだね。」
「え?」
教室の扉が邪魔で、人がいることに気づけなかったみたい。
勢いよく振り返ると、そこには本条先生が立っていた。
「…………。」
言葉が何も出てこなかった。
昨日の今日で、一番に先生に会うなんて思いもしなかったから。
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