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篠羅木さん……もうきょうだいだからそれも変だね。でも何て呼べば……仕方ない、まだ篠羅木さんでいいや。取りあえず篠羅木さんに呼ばれ玄関に照哉さんが来た。
「おっ、きたね。早く上がった方がいいよ」
僕達の後ろをちょいちょいと指す。ん? 後ろを見てみた。あら、引っ越し業者の人が重たそうな荷物を持ちながらこちらを見て笑っている。なら僕も笑顔返してやる。すると相手の笑顔が多少ひきつる。
ふむ、冗談が通じないみたいだ。
「早く上がりなさい。邪魔になってるでしょ」
母さんに促され仕方なしに家にあがる。チエッ、まだ睨み合いの途中なのに。
リビングに通されイスに座る。すると今まであまりなかった緊張が一気に高まる。そこに盆を持って台所から篠羅木さんが現れた。そして座ってる僕と母さんの前に湯のみを置いた。
「お茶です。どうぞ」
促され湯のみに口をつけた。とても熱い。舌をだしてアピールする。
「ふふっ」
篠羅木さんに笑われた。これはかなり恥ずかしい。頬が熱くなるのを感じる。
「ごめんね。谷屋くん………じゃなかったね。え~っと葉くん! 合ってるよね?」
質問を投げかけてくる。しかも顔が少し近くなった。ヤバいかわいい。
「うん、合ってるよ」
顔あわせてられなくなり逸らす。
「よかった~。とりあえず葉くんって呼ばせてもらうね」
「うん、わかったよ」
「じゃあ一休みしたら部屋に案内するね」
ニッコリ笑って台所に戻っていった。恥ずかしさと緊張を紛らわせるためまた湯のみに口をつけた。今度は飲めた。
………
……
…
一休みを終える頃には引っ越し業者の人達は帰っていった。今は篠羅木さんに僕の部屋になる場所に案内してもらっている。階段を登り「媛菜」と書かれたプレートが下がってるドアを通過しその隣で部屋のドアで篠羅木さんは足を止めた。そしてドアノブを回した。
「ここだよ」
促されるように部屋に入った。正直部屋の事より篠羅木さんが近くにいる事のほうが気になって仕方ない。とりあえず部屋を見渡す。引っ越し業者の人が荷物を運び終えていたのでダンボールが重ねてあった。大きさは前の部屋と変わらない大きさ。六畳ぐらいかな。
「荷ほどき手伝う?」
篠羅木さんはダンボールをみていった。正直助かるかもしれない。
「お願いし………──やっぱ大丈夫!」
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