始まり

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 いつも通りの通学路を歩く。僕の通っているのは僕が住んでいる翼星町(よくせいちょう)の中にある高校──紅葉(こうよう)高校までは歩いて二十分。携帯で時間を確認したが十分間に合う。  僕は谷屋 葉(たにや よう)。学年は二年。自分でいうのも変だけど僕は病弱。小さい頃は入退院を繰り返してた。今では入院はしてなくなったけど微熱はしょっちゅうでるし高熱にもなりやすい。まだ出席日数はたりてるけどもしかしたらヤバくなってるかも知れない。  勉強はそこそこでスポーツは体力がないから苦手。でも足の速さには少し自信はあったりもする。ついでに言うと父さんは十二年前に交通事故で他界した。なので母さんと二人暮らし。だけどうまくやってる。家事もだいたいこなせるようになった。これはちょっとしたステータスだと僕は思う。えへん。  最近、学校では生徒会選挙が行われた。まあ僕は関係ないけど生徒会長に選ばれた人がとてもかわいくて入学当時から憧れている人。まあ高嶺の花だから見守るのがせいぜい。といった感じかな。 「自己紹介終わり!」 「おはよー。お前どうかしたか?」  肩をポンと叩かれた。見るといつもどうりの幼なじみの姿があった。 「おはよ。ううん、別にちょっと自己紹介してただけだよ」 「おい、葉……ホントに大丈夫か? 頭がついにいかれたか?」  心配そうな表情をしていた。失礼だな。僕はいたってマジメだ。 「ところで栄司、君も自己紹介しなよ」  それを聞くと栄司はなんともいえない表情をしていた。 「……お前、精神科行け。付き添ってやるから」  またまた栄司に失礼な事を言われた。ふむ、なら仕方ない。勝手に自己紹介してあげよう。 「名前は野田栄司(のだえいじ)。僕の幼なじみで僕が病弱な事を理解していて、本人曰わく、だいたい僕を見てればどれくらいの熱を出しているかわかるみたい。で、後勉強は出来ない。スポーツは得意。僕的には容姿は悪くないと思うよ。こんな感じかな? だよね栄司?」  ん? 横を見ると隣にいた栄司がいない。おかしいな。後ろを見ると栄司はいた。けど顔をひきつらせている。 「……ホントどうした? 葉……なにがあった? 相談にのってやるから話せよ」
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