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「おっ、あれは……」
栄司が誰か見つけたのか僕の肩を軽く揺する。仕方なく見るとあちらから篠羅木 媛菜(ささらぎ えんな)が友達と話しながら歩いてくる。
「……あっ」
僕は腰までのびている栗色の長い髪、薄いグレーの瞳の彼女から目が離せなかった。歩みを止めてしまい雑談しながら歩く彼女を見る。彼女こそ僕が気になる人。この学校の二年の現生徒会会長で成績優秀、容姿端麗、スポーツ万能、性格も良いとぶっちゃけ完璧超人だと思う。それゆえ人気は高く彼女を狙ってる人は後をたたない。
だけど気になるのだから仕方ない。徐々に近づいてくる。僕に向かって来るわけでもないのに心臓の鼓動が速くなる。そしてすれ違う瞬間彼女はこちらを向いてニコリと笑った。鼓動がさらに速くなる。するといきなり背中に強い衝撃が走る。
「おーい、大丈夫か~?」
手をヒラヒラさせて栄司が覗き込んでいた。そこで背中に走った強い衝撃は栄司が叩いた事なのだと理解した。
このやろーせっかく人が幸せな気分になってるのにー。
「ジト目はやめろ。気になるのはわかるが露骨すぎるぞ」
「へ……マジ?」
「ああ、あれじゃあとても“あなたが気になります”っていってるもんだ」
ふむ、まさかそんに見つめていたとは少し恥ずかしいな。
「取りあえず行こうぜ。誰かさんが足を止めてるから進みはしねぇ」
「ホントだ。これから気をつけよう。では行こうではないか我が相棒よ」
「へいへい。あなた様が満足するまでお供しますとも」
そうして学食へ向かった。
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