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「慎吾またやってんの?
いい加減捕まんぞ!?」
後ろからノブが声をかける。
「邪魔ねぇって。
てかこれが俺の仕事!?って感じだし!」
俺は手を止めずに返事をした。
この頃の俺はスクラップ置き場から拾ってきた、
ボロボロに錆びた単車のパーツを
鑢で削ってからスプレーでメッキを吹いて、そこら辺のヤンキーに売り飛ばす"個人事業"をしていた。
「てか今日、飲み行きたいんやけどお前空いてる?」
パーツを団扇で扇ぎながらノブが言う。
「いいよ。いつ?」
「いつものコンビニに9時な!!
S町行こうぜ!」
S町は隣県にある町で飲み屋街と風俗街が合体した、
この頃の俺達の天国だった。
「了解。」
俺は笑いながら答える。
出来上がったパーツを持って俺は立ち上がる。
「じゃ、俺M店で時間潰すわ。」
ノブはそうゆうと単車に跨る。
ーーー遠ざかるノブの背中を見てると、
あの日の高揚感が少しだけ蘇って来た。ーーー
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