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その頃 遠く離れた越後では関東管領 上杉謙信が静かに出陣の仕度を整えていた。
謙信「さて、今我が越後は雪で大規模な兵を動員できぬ。だが信玄はこの間に確実に上洛を進める。」
上杉景勝「しかし義父上、今の我等には。」
直江景綱「さよう。雪が溶け次第出陣するしかなし。」
河田長親「信玄の天下になってでも?」
直江「それなら奪えば良い。」
武田軍とほぼ互角の武力を持つ上杉家は極めて異質な存在であった。信長が反室町幕府なら、信玄は親室町幕府である。
謙信はこの中間にいた。
関東管領という有名無実の職に就きながら、新興勢力である信長と通じていた。
戦国時代に生きた武将である意味、一番不可思議な武将だった。
謙信「・・・・ふむ。」
謙信は不気味な微笑みを残し、部屋を後にした。
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