武田信玄 上洛

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近江 小谷城 松本『着きましたな。此処が小谷城か』 光秀『此処からが正念場じゃな。』 松本と光秀は城門に立った。 番兵『何じゃ貴様等?仕官を求める浪人か?』 光秀『いや某、織田家臣、明智光秀と申す。この者は同じく織田家臣、松本晴忠に。』 番兵『な、何故織田の重臣が此処に?』 光秀『ご当主、浅井備前守にお目通り願いたい。』 番兵『しばし待たれよ。某の一存では決められぬ。』 数十分後、松本達は城内に招き入れられた。 番兵『まず、赤尾美作守がお会い致します。』 屋敷が立ち並ぶ街を抜けると道の横に赤尾美作守が松本達を待っていた。 光秀『赤尾美作守殿とお見受け致す。』 赤尾『如何にも。明智殿でござるか。』 光秀『左様。此度は我が主、織田弾正忠が書状をお持ち致した。浅井備前守様にお会いしたい。』 赤尾『・・しからばわが屋敷へ』 更に奥に進むと一際立派な屋敷が松本達を待っていた。 赤尾『参られよ。』 赤尾は松本と光秀を奥に案内した。 赤尾『此処で待たれよ。』 そう言い残すと赤尾は襖を閉めた。 光秀『晴忠、何時でも動けるようにしておけ。』 松本『御意。』 ダンダンと足音が響き乱暴に襖が開かれた。 浅井長政『久しいな、明智。』 光秀『お久しゅうござる。』 長政『話は聞いた。まずは義兄からの書状を見せてもらおう。』 松本『これにござる。』 長政『これか?』 長政は書状を読み始めた。 長政『・・・ふむ。離反か。義兄の言わんとすることはわかった。だが今、我々は敵対する勢力同士。力を貸す訳にはゆかぬ。』 光秀『どうしてもでござるか?』 長政『くどい。』
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