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声のした方を見ると、手を銃の形にして立っている女の子がいた。
ネクタイにブレザー、フレアスカートと、ここまで見ると普通の女子学生だが、一際異色を放つものがあった。それは…
「う、ウサ耳?」
彼女の頭の上にはバニーガールがつけているウサ耳があった。しかしどういう仕掛けか、生きているかのようにピョコピョコと動いているではないか。ウサ耳を凝視していると、
「今のは警告よ。早くここから立ち去りなさい!」
狼男に恐れるどころか啖呵をきって脅している。プライドをいたく傷つけられたのか、狼男はウサ耳少女に飛びかかった。
「あ、危ない!」
そう叫んだが無駄だった。
「警告はしたわよ!?」
銃の形にした手を狼男に向ける。すると、手の近くの何もない空間に銃弾が何発も浮かび上がり、
「BANG!」
少女が言うと、銃弾が狼男に向かって放たれた。銃弾は全て当たったが手加減していたらしく、狼男は鳴き声をあげながら竹林の中に逃げていった。
彼女はふぅと溜め息をつくとこちらを向き手をさしのべた。
「大丈夫?肩から血が流れているけど?」
「あ、あぁ、助けてくれてありがとぅ…」
張りつめていた緊張の糸が切れたのか、自分のいた世界が反転し、目の前が真っ暗になった。
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