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門番は笑いながら牛乳瓶の蓋を開ける。相変わらずこの門番という仕事はヒマらしい。 「ミスターのほうは?何か変わったこととかは無かったの?」 「俺かあ?…ああ、大事なことを忘れてたよ。今日の午後また新入りがくるらしい」 「へぇっ!じゃあ今日の夕刊の見出しは決まりだね。…っと。そろそろ行かなきゃ。またね、ミスター!」 「おお、またな」 ひとしきり話し終えると、オリゲンは手を振って門番と別れた。そのまますぐの所にある路地の中に入り込む。 ここで門番と少し世間話をするのは日課であるが、それは門番の仕事の特殊性のなせる業であり、基本的にこの時間帯、あまり人には遭遇しない。 人通りの少ない路地道を軽快に走りながら、手際よく郵便受けや、それがない家には決められた場所に牛乳と新聞を置いていく。 オリゲンにとってこの場所は庭のようなものだが、それは彼に限ったことではない。ここに住む住人ならば、大抵の地理も情勢も解りきっている。 担当分の新聞と牛乳を大体半分配り終えると、ここの広場にたどり着く。 .
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