11人が本棚に入れています
本棚に追加
ギギギギ。
物体が擦れる音がして、強固な扉が開け放たれた。
外界の渇ききった臭い。外界の幽かに湿った空気の香り。外界の茹だるような熱気。それらが一頻り、僕を取り巻く。
暑い、体が火照るよ。
「さてあんたの出番だよ。働いておくれ」
おっと、【ご主人様】のご命令だ。殺戮の始まり始まりだね。
暗室から解き放たれた僕は、殺しに飢えた殺人鬼のように、殺戮を繰り返すんだ。
しかし、それは僕自信の意思ではないよ。
殺すことが僕の存在意義だから、殺すことしか出来ないから、だから殺め続けるんだ。
ガンッ。バンッ。
鈍い音。殺すという感覚。
そして、体に付着する吐瀉物。こびりつく血反吐。
おそらくそれらが拭き取られることは、永久にないだろうね。
僕は四六時中、もしかするとこの一生を終えるまで、体中を漂う死臭及び生々しい異物感と、闘わねばならない。
一度で良いから、お風呂ってやつに入ってみたいよ。湯船にゆっくり浸かった後は、臭く汚い体をごしごし洗うんだ。
気持ちが良いんだろうなぁ。
最初のコメントを投稿しよう!