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さてさて。
ここで、この繰り返される殺戮の連鎖を打破する為に、抵抗を、即ち脱出を試みようじゃないか。そうすればきっと……。
そう考えると何だか勇気が湧いてきたよ。成せば成るだよ。頑張れ、僕。
……、…………、……、…………、……、………………、…………、……。
暗がりの中で、僕は力の限りを振り絞ってのたうち回った。
その姿は醜いだろう。滑稽だろう。でもやれば出来ると信じているんだ。脱出出来る筈なんだ。
『殺さずに済む筈なんだ』
という僕の夢は、所詮叶わぬ夢のまた夢だった。
今考えたら、体を動かすこと自体出来ないんだよ、僕は。
なぜなら、手も無ければ、足も無いのだから。
千切り取られたとか、切り裂かれたとか、そんなんじゃなくて、手足を備え付ける必要性が僕には皆無なんだ。
殺さない為に頑張ろうと思ったのに、残念だよ。抗うことすら出来ないなんて。
成せば成らなかったね。
ふふ。そんな悪態をついても意味はないか。今日はもう寝よう。
明日は、いや明後日は、いや明明後日は、僕に神のご加護があらんことを。アーメン。
お休み。
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