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バチンッ!!
淡い期待と、感謝の言葉は、無粋で無情な衝突音で打ち砕かれた。
「やりい~、うふふ」
亜紀子ちゃんは、朗らかに微笑んだ。
殺戮の快感に満ち震えているのかもしれない。だから笑っているのかもしれない。
そんな亜紀子ちゃんには悪いけど、僕は笑えないよ。
それは、言葉に出来ない程の、強烈な悪臭と悪寒が、まるで濁流のように、まるで雪崩のように、押し寄せるように、僕の鼻腔と背筋を刺激している所為故だ。
ま、鼻や背中なんて器官は僕には元々ついていないんだけどね。
はぁ~。青息吐息が出るよ。
期待なんかするからこれだ。亜希子ちゃんも可愛い顔して、なんという残虐非道な愚行を。愚の骨頂だよ。
でもそんなところもまた、愛くるしいんだけど。愛おしいんだけど。
「さてっ、じゃあお片付け。お片付け~」
亜希子ちゃんは僕の体を分断し、死体処理の為に僕の分身を使用した。
殺しに餓えた殺人鬼から一転して、今の僕は俗に言う死体処理班ってやつに早変わりだね、とほほ。
引き離された僕の分身にも触覚は備わっているから、ひしひしと死体を意識しなくてはならないんだ。悲しきかな、僕の身体構造。
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