2/10
前へ
/18ページ
次へ
「春」と聞いて真っ先に思い付くものといえば何だろうか。 例えば 桜 例えば 入学式 恋の季節だなんてロマンチックな事をほざく奴もいるかもしれない。 人それぞれ思うことは違うだろうが、大体の事に共通するのは、「何かの始まりの季節」と言ったところだろう。 花が咲きはじめ、新学期が始まり、どこかで恋が芽生える。そんな「始まりの季節」。 しかし、俺にとって花は大して気にすることでもないし、年の始めは1月だと思っている。恋したくない訳ではないが、したくて仕方がないというわけでも無し。 よって、特別ウキウキしているわけでもない俺は、悪いと思いつつも壇上で挨拶を読み上げる白泉和佐(しらいずみかずさ)の声を子守唄に、うつらうつらと舟をこいでいた。
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加