プロローグ

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その頃はまだカラフルなランドセルなんてあまり見かけなかったし、ピンクがかったランドセルだってあまりなかった。 そんななか男子が赤なんて悪目立ちする。悪く言ってしまえば"異質"だ。 何となく分かっている人もいるかもしれないが、この問にたいする先生的“答え”は 「買ってあげる。」 男子が赤だろうが女子が黒だろうが虹色だろうが個人の自由だそうだ。 これを答えたクラスメートの女の子は、実に得意げに笑っていた。 あの笑顔を、俺は今でも忘れられない。 しかしながら、俺はどこか納得いかなかった。 どこが?と聞かれればどこか分からないけれど、なんかもやもやした気持ちを抱えて家へと帰った。 そこで俺を待ち受けていたのはたんすにぶつかって持っていた牛乳を俺の服にぶちまけた母親の姿だった。
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