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「ねぇ、知ってる?」
並んで歩き始めてしばらくしてから柚樹が問い掛けてきた。
「…何を?」
「んとね、桜の木の根元には死体が埋まってる…ってハナシ」
「………ハイ?」
思わず思考回路が停止しかけた…何言い出すんだ、いきなり…
「だから、桜の花びらがキレイな桜色なのは土の中に死体があって、その血を吸い上げてるからだ…って。誰かがそんな事を言ってたのを聞いた」
「…おいユズ…お前まさか、それ信じてるなんて言わねぇよな?」
所謂ホラー系といわれるハナシが苦手な俺は顔を引きつらせていたのかもしれない。
「ははっまさか。いくら何でもそれは信じないって。ただ…何となく思い出した。あながち嘘でもないな…なんて」
「仮にそうだとして…毎年新しい死体を誰が埋めるんだっつの。俺は嫌だ」
そう返すと隣から苦笑が聞こえてきた。
「さっくんってさ、いつも変なとこで現実的だよな~確かにすげぇ怖いよね…一人で桜観れない」
「…だろ?」
自分で言ってて何だか笑えてきた。それは我ながら何考えてんだ?と思ってしまったからで。
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