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小鳥たちのさえずりが甲高く響いていた。
四方八方どこを見ても木、木、木という状況だった。
だからと言って木しかないわけでもなく得体の知れない花、つまり植物もそれから小動物、もっとよく見れば虫だっている。
そんな森の中で男一人が倒れていた。
黒の微妙なロン毛にメガネ、見た目からオタクだと疑われるようなルックス、しかし中身もオタクだから弁解の余地もない。
青のジーンズに半袖の白のTシャツ、黒の上着を羽織っているが服も体も切り傷だらけだった。
ここまで言えばもうおわかりだろう。
彼の名前は風見大樹。
魔法使いだ。
「くっ……」
堅く閉ざされていたまぶたを開く、うつ伏せに倒れていたせいか視界に入ってきたのは焦げ茶色の地面。
「どこだ……ここは?」
顔をあげると森が広がっている。
しかし自分はなぜこんなところにいるのか、疑問に思って仕方ない。
まず大樹は頭の整理に思考回路を一気に張り巡らせる。
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