第二章・―恋文―

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 まぁ、普通に考えれば依頼はされているのだし。既に契約してしまっている以上、探偵と依頼人は密接な関係にある訳で。  ……だからといって、勝手に乗り込んでも良いという訳でもないが。  少なくとも“事件を調査する”という大義名分は出来る。  探偵はそのために存在し、依頼人と契約を結ぶからだ。 「あの、お待たせ致しました」  俺がそんな他愛もない事をつらつらと考えている内に、当の依頼人である直人さんがやってきて一礼した。  その姿を見て、ようやくきちんと座り直した四夜と五夜は、今までのリラックス振りがまるで幻であるかのように、交互に丁寧な挨拶を始める。
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