第一章・―そんな妖怪、知らないよ―

8/12
前へ
/120ページ
次へ
 想いを綴って手紙を書いたが、相手にされなかったり、無下に扱われる事でその手紙にこもった念が鬼と化し、人間を襲うようになるのである。  妃、という字から分かるかも知れない。  なんでも鳥山石燕という、江戸時代の妖怪絵師が描いた、女の人の妖怪らしい。  やっぱりいつの世の中でも、女の人の情念は恐ろしいということなのだろうか、俺がそう考えていると、五夜がとんでもない事を聞いてきた。 「悠人はさっきの話、どう思う?」  言われても分からない、俺が首を傾げると、二人は同時に笑った。
/120ページ

最初のコメントを投稿しよう!

181人が本棚に入れています
本棚に追加