第一章・―そんな妖怪、知らないよ―

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 依頼内容は簡単だった。  依頼主である、山崎直人(やまざきなおと)さんの父親が亡くなった。  そこで遺品を整理していたところ、蔵の中から何通にも丁寧に束ねられた恋文が出てきたのだという。  そこまではいたって普通の話だろう。  人間生きていれば恋の一つや二つはするだろうし、もてていればラブレターの類をもらう事だってある。  ……まぁ俺はまだ一度も経験していないけど……。  話が脱線してしまった。   とにかく、問題は山崎さんがその恋文を発見した頃から起き始めたのだという――。
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