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夜の空、とても赤が似合う。
それが第一印象だった。
[愛を知った人形]
──黒曜
少しだけ欠けた月が黒曜ヘルシーランドを照らす。
「骸さーん?どうしたんれすかぁ、ぼーっとして?」
ソファーに座り窓の外を眺めている男に暗闇から誰かが声をかける。
電気がないため顔を確認することはできない。
「なんでもありませんよ、犬」
骸、と呼ばれた男は視線を窓の外に向けたまま答えた。
「そうれすか」
犬は特に気に掛けるわけでもなく骸から視線を戻す。
「(…かすかにですがこれは────血、ですね…)」
「ん?どこか行くんれすか?」
「えぇ、少し出てきます」
きしり、と音をたてソファーから立ち上がるとゆっくり歩きだした。
いってらっさいと犬の言葉を背中で聞きながら骸は黒曜ヘルシーランドを出ていった。
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