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月が夜道を照らす。
夜も遅いこの時間、骸以外に人はいない。
「…」
いないはず、だが。
骸はかすかに感じた人の気配へ歩をすすめる。
こつり、こつり。
歩いた先、
そこは小さな公園。
昼間は子供達でにぎわうであろうそこは今は闇に包まれていた。
「(…二人…いや、三人?)」
公園内に感じる人の気配。
かすかに匂う血の香り。
ただの喧嘩にしては気配を押し殺すのは妙だ。
骸も気配を消し公園内へ入る。
入り口を抜けると遊具が置かれた砂場が見えた。
その砂場に、横たわるスーツ姿の男。
胸からは血を流し、瞳孔は開いている。
息絶えた男には目もくれず骸はさらに公園を奥へと進む。
「…っ、…ぁ…」
途切れたうめき声。
視界に見えた男性らしき手。
この先に何かがいる。
はやる好奇心を抑え慎重に歩む。
「──…」
月が照らす中見えたのは、背中から刃を出した男。
ずるり。
刃が消え男の身体は重力に従い地面へ落ちる。
「──…だれ?」
そこに立っていたのは、
髪の長い、返り血に身を染めた1人の人物だった。
(きれいなあか)
(それはしたたるほうせき…?)
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