はじめの一歩

10/12
前へ
/20ページ
次へ
「俺、何で来たんかわからん ただの意地なのかもしれん」 僕はそんなわけのわからない事を 自信がなくなり独り言を呟くように ぼそっと答えた 「そうなん?なんかないん?趣味とか」 「趣味? 趣味ならあるで 音楽!ギターが好きやねん」 これなら僕は自信満々に答えられた ギターは大好きだった 高校ではフォークソング部に入ってるし ちょっと恥ずかしいけど みんなには内緒で自分の曲なんて作ったりしてるところだった 「そうなん?じゃあ未来のギターリストやな!」 ギターリスト? そんなんなれるわけないやろ 今までの僕なら絶対にそう答えるだろう そんな事を言う奴も冗談交じりで言っていて ふたりで笑いあうだろう でもここではもう冗談なんかではないんだ 彼は本気で言っているんだってわかった だから俺も本気で答えなきゃ
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

25人が本棚に入れています
本棚に追加