はじめの章

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「すごいやーーん!」 家に帰ると母がそう叫んだ 涼平が真っ先に話てしまってからずっとご機嫌だ 鼻歌なんか歌って夕飯の準備をしている 「なんで俺なんかな 間違いじゃないんかな?」 「何言ってんや 母さんも着いてくから頑張りや~」 母は自分のことのように嬉しそうだった この話は 案の定1週間近くで近所中の噂になってしまった 変なプレッシャーを感じながら迎えた 二次オーディション当日 みんなが応援してくれた それなりに頑張ったつもりや アカペラで歌を披露し ダンスを踊って 一人三役のアフレコをやった 審査員席には 偉そうなおじさんたちと 顔を見たことがある芸能人 何回も何回も 手に人という字を書いて オーディションを受けた 結果‥‥‥ 不合格 あっさり終わってしまった 母は夢が終わってしまったような顔をしたけど 笑いながら 「まあそうなるやな」 と言った 僕はとてもとても悔しくて このまま終われそうになかったんだ
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