きっかけ

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「毎回、臨店の度に、支店長には話していますが ・・・顧客からの、要望を断ることは、返品を意味するので簡単にはいかないの一点ばりです。 返品の責任の所在を私に訴えられると私にはそれ以上の話ができません。」 真理子は、反抗的な口調で部長に返した。 その口調に微妙な嫌悪を含みながら部長はすぐさま返した。 「なにも、返品云々の問題をいっているのではないんだ。この支店で日常的に意識をもってやっているかそうでないかのことを言っているんだ」 「部長、おっしゃっている意味がよくわかりませんが」 真理子は反抗的な口ぶりを変えない。 ・・・真理子、余計なことを、適当に謝って流しておけばいいものを・・・ 「佐伯。前もって販売時に支払い変更を前提に売っているのかって、ことを聞いているんだ。何回、同じようなことをいってると思う!いい加減にしろ!」 部長の叱責とも取れるような罵声が飛んだ。 とたんに、室内の空気が変わったのがわかった。緊張の糸がぴんとはる。そこにいた全員の顔が下を向いた。 「支払い変更前提の販売はしていません。ただ、顧客から返品を脅しに変更申出があった場合に 返品をとるか売上げ数値を取るかと言うことを言われているのです。」 真理子はさらに続けた。 「売上げを作るための努力をしている現場で強硬な意見を言うのは私にはできません。」 「・・・・・」 部長は、真理子に敵意むき出しの視線を送った。 「支払いの変更っていうのはだなあ・・・ 用は、売上げの先取りだろうが!そこを教えてやってるいるのかって聞いているだ!」 答えのない質疑を繰り返しているようなものだった。 事務方と営業サイドのお互いの都合が事務方だけが揃うこの会議で結論を出そうなんていうのがそもそも無理なのである。  そして、ここにいるほぼ全員が営業を知らないいわゆる実働部隊ではない。 それに、規則について効力を持たせられるだけの職制も持ち合わせていない。 誰が営業に強い意見をいえる者がいるのだろう。
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