蠍泥:甘い味

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俺は別に食事は必要としていない なんてったって人傀儡だからな だが、俺の相方はそうもいかねぇ 生身だからなァ しかも、まだガキと言うこともあって甘味が好きらしい 傀儡作りや毒の調合で、基本的に出先が器用な俺に、 おやつを作って欲しいと、しばしば ねだってくる 今日も例にもれず、今、俺の目の前には テーブルに置かれたショートケーキに目を輝かせる相方がいる 「サソリの旦那は食べないのかい?うん?」 一つしかないショートケーキを食い入るように見つめながら相方は聞いてきた 「俺は別に甘いもんは好きでもねーからな」 それに俺はわざわざ食べる必要はねーしなァ と付け足す俺に 「じ、じゃあ、食べて良いんだな?うん?」 明らかに弾んだ声で 待ちきれない、と言いたげな眼差しで 相方は尋ねてくる そんな相方の様子に、可愛らしいなんて思う俺は末期にちげーねェ  
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