ハルヒコとの出会い

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別に平凡が嫌いな訳ではない。 世の中は平凡から成り立っている。安定した平凡の数が保たれてこその平和であり、平穏であり理想だ。 ただ、思うのだ。 世界中で恐らくこう思うのは私くらいのものだろうが。 非凡から生まれた命や地球やなんやらが平凡に身を委ね漂うのは、それ自体が非凡なことじゃないのかね、と。 涼宮ハルヒコを知ったのは、退屈な自己紹介タイムを詩人気取りでやり過ごそうとしていた時だった。 「東中出身涼宮ハルヒコ、変な人間には興味ありません。常識はずれ、キチガイ、霊現象、宗教、変態の類は俺の半径三メートル以内に近付かないで下さい。」 久しぶりに本音を口に出して生きられる人間を見たなと思った。ちょうど通路を挟んで私の真横、背も高く凛々しい顔立ちをした青年はなるほど、下卑たるものは一斉廃除されてしかるべきのような賢い輝きを放っている。 「以上。」 その自己紹介は相当良い評価を受けたらしく、クラスのほぼ全員が何らかの好印象的な笑いと雑談を零していた。 …私を除いて。
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