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疲れきった目元に何か言いたげに張り詰める唇の線。それが豊高の知っている母親の顔であった。
ーーー何だよそれ。
豊高は腹が立った。
ーーーなんであんな顔するんだよ。
俺には笑いかけたことすらないのに。
ほっとけばいいのに。俺や親父なんか。
ほっといて、そいつと、
幸せにでも何にでもなればいいのに。
「ユタカ?分かった?ちゃんと食べてね」
「・・・もうほっといてくれよ」
その呟きは、いってきます、という声と、重く扉が閉まる音に押し潰された。
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