第二章

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朝になれば、雨は止んでいた。窓についた水滴は朝日を浴びて光の玉と化す。 豊高は学生服のまま眠ってしまっていた。 眼鏡のフレームが歪み、触らなくても分かるほど寝癖がついていた。 夕食は結局食べなかったので空腹感を通り越して胃が重い。 豊高はのそりと起き上がり、寒さに身震いする。まだまだ残暑が残っているとはいえ、秋の朝は肌寒い。 折りたたみ式の黒い携帯電話をポケットから取り出し、時間を確認すると朝の6時半だった。 いつもより遥かに早い起床であったため豊高は二度寝しようと試みたが、湿っぽいシャツが気持ち悪く眠れなかった。
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