第三章

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無音。 豊高の高校生活はこの一言に尽きる。学校では専ら雑音の中に身を置き、自ら音を発することをしなかった。 故に教室では浮いている。存在すら忘れられがちな、俗に言う根暗、オタクというカテゴリに属している。 しかし豊高に限っては、忌むべき意味で有名だったと言えよう。 やっとの思いで入った高校は地元にあり、当然中学校の同級生が何人か通っていた。 入学したばかりの頃は恰好の陰口の的となっていたが、半年近くも経てば相手にされなくなり、豊高は独りになった。
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