第三章

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昼休みを告げるチャイムが鳴った。 豊高はゆっくり立ち上がり購買へ向う。 渡り廊下の入り口にある購買はさして品揃えがよくない。30分もしない内に完売してしまうため、小さな窓口は生徒でごった返している。 豊高の買うものはその時手に取ったものと缶コーヒー。 今日はたまたま一番人気のフレンチトーストを手にした。だが缶コーヒーは売り切れており、仕方なくパック入りのミルクティーを買った。 豊高はいつも人のいない教室で昼食を摂る。例え誰か訪れても、昼休みが終わるまでその教室で時間を潰すのだが。 そして午後からまた退屈な授業を聞き流す。はずだった。 「立花!」 廊下で適当な場所を探しぼうっと歩いていると、久しく名前を呼ばれた。豊高は半開きの目をぱっちり開き、こちらへ走ってくる人物に注目した。
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