第三章

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背が高く、ラグビーの選手を思わせるがっしりした体つき。黒髪をさっぱりと短く切って軽く後ろに流している、少々目尻が垂れた男子生徒。 大型犬のような人懐っこさを彷彿とさせる。学生服の襟についたバッチからすると三年生のようだ。 「何スか?」 先輩だと確認すると豊高は気だるそうに、だがそれなりに対応する。身長差がありすぎて、見下されているような感覚だった。 不愉快だと感じた豊高は用件があるなら早く済ませて欲しいと願った。 「あのさ、お前さ、フレンチトースト買ったじゃん。俺のと代えてくんねえかな」 男子生徒はまるで子どものように笑いながらビニール袋を突き出す。
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