第三章

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「カノジョねぇ・・・」 「羨ましいだろ」 ツワブキは二カッと歯を見せて笑う。 「羨ましいッス」 ツワブキは驚いて身を乗り出し、椅子がカタンと音を立た。 「なんで?お前男好きなんじゃねえの?」 「いや・・・・・・」 豊高は目を伏せる。 睫毛が長い。大きな瞳にその陰がくっきり映る。やがて形の良い唇が言葉を落とす。 「・・・・・・普通で、いたいから」 豊高はストローを噛みしめる。 なぜこうなってしまったのだろう。 このことを考える度、胸が苦しくなる。
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