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「男が好きだったら普通じゃねえのか?」
ツワブキの目が突然鋭くなる。啜ったミルクティーは口まで届かなかった。豊高はツワブキの変化に気づかない振りをして続ける。
「いや、普通じゃないでしょ」
続きの言葉を言えば、傷つくと分かっていた。
本当に言ってしまってもよいのか、という気持ちが湧き上がる。まるで傷口から滲み出す血のように。
足が貧乏ゆすりを始めた。体が言うなと警告している。
豊高はそれをねじ伏せ、自虐的な言葉で自分を切り裂く。
「・・・普通、気色悪いって」
「お前、自分のことそう思ってんのか?」
獣の唸るような低い声に豊高の体が小さく震える。
本音が見透かされるのでは、という焦燥に駆られていた。
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