Ⅱ.歪み

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「ただいま」 『あれ?』 おかしい。 「おかえりなさい」 「ただいま、お母さん。ねぇ、歌奈は?」 朝起きた時から、僕は激しい嫌な予感に襲われていた。 何か分からないが、モヤモヤしていたんだ。 で、気を紛らす為に垣本(かきもと)さんに逢っていた。 垣本さんは綺麗で優しい高校生のお姉さん。 彼女は頭が良くて教えるのも上手だから、嫌な考えを消す為、朝から勉強を教えて貰ってたんだ。 気が付くと18時を過ぎていて、慌てて帰宅した。 帰ったら一番に歌奈の顔を見よう。 そしたら、モヤモヤなんか一瞬で晴れるだろう。 そう想っていたのに 「歌奈ね、まだ帰ってきてないのよ。心配だから連絡してくれる?」 家に歌奈は居なかった。 鞄から携帯を取り出し 「もしもし歌奈?」 通話すると 「はい?」 聞こえた声。 あ~ほんっと歌奈は声も可愛いな。 聞くだけで癒される。 早く逢いたいよ、今すぐ帰ってきて? 「あのね、お母さんがもうすぐ御飯だから帰っておいでって。だから早く帰ってきてね?」 「分かった。今から帰るから」 プツッと切れた電話。 もっと話したかったなぁ。 でもま、すぐ帰ってくるし我慢するか。 そう想い、食卓に着いた。 が 「歌奈遅いわね。先食べちゃう?」 いつまで経っても帰って来ない歌奈。 どうしたんだろう? 心配になり再び通話ボタンを押したが 『歌奈?』 電話は繋がらなかった。 こんな事初めてだ。 まさか何か事件に巻き込まれた? それとも何処かで気分悪くなった? 嫌な予感ばかりが脳裏を過ぎる。 「ごめん、先食べてて?」 僕は慌てて家を飛び出した。
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