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「ただいま」
『あれ?』
おかしい。
「おかえりなさい」
「ただいま、お母さん。ねぇ、歌奈は?」
朝起きた時から、僕は激しい嫌な予感に襲われていた。
何か分からないが、モヤモヤしていたんだ。
で、気を紛らす為に垣本(かきもと)さんに逢っていた。
垣本さんは綺麗で優しい高校生のお姉さん。
彼女は頭が良くて教えるのも上手だから、嫌な考えを消す為、朝から勉強を教えて貰ってたんだ。
気が付くと18時を過ぎていて、慌てて帰宅した。
帰ったら一番に歌奈の顔を見よう。
そしたら、モヤモヤなんか一瞬で晴れるだろう。
そう想っていたのに
「歌奈ね、まだ帰ってきてないのよ。心配だから連絡してくれる?」
家に歌奈は居なかった。
鞄から携帯を取り出し
「もしもし歌奈?」
通話すると
「はい?」
聞こえた声。
あ~ほんっと歌奈は声も可愛いな。
聞くだけで癒される。
早く逢いたいよ、今すぐ帰ってきて?
「あのね、お母さんがもうすぐ御飯だから帰っておいでって。だから早く帰ってきてね?」
「分かった。今から帰るから」
プツッと切れた電話。
もっと話したかったなぁ。
でもま、すぐ帰ってくるし我慢するか。
そう想い、食卓に着いた。
が
「歌奈遅いわね。先食べちゃう?」
いつまで経っても帰って来ない歌奈。
どうしたんだろう?
心配になり再び通話ボタンを押したが
『歌奈?』
電話は繋がらなかった。
こんな事初めてだ。
まさか何か事件に巻き込まれた?
それとも何処かで気分悪くなった?
嫌な予感ばかりが脳裏を過ぎる。
「ごめん、先食べてて?」
僕は慌てて家を飛び出した。
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