Ⅰ.はじまり

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暖かな日差しが届き、軽い眠気に襲われる。 駅前の公園のベンチは、俺にとって一番の特等席だ。 何故なら此処は、殆ど人が寄付かないが、駅前だからか毎日綺麗に清掃されているからだ。 なので今寛いでいるベンチもいつもピカピカに磨かれている。 今日も俺は此処で、野良猫と戯れ、軽い睡眠を採る。 此処は結構可愛い猫が集まる為、動物好きの俺には癒しスポットでもあるのだ。 因みに此処には休日の午前中に来る事が多い。 ぼぉ~っと空を見上げると 『ん?』 携帯がなった。 「はい?」 弟の聖(ひじり)からだ。 「分かった。今から帰るから」 どうやら長い間居座っていたらしい。 夜御飯だから早く帰れと言われてしまった。 『仕方ない、帰るか』 まだ眠い瞼を軽く擦り、俺は家路へと足を向けた。 公園から足を踏み出した時だった。 「宮城」 突然誰かに呼び止められた。 俺の名前は宮城歌奈有(みやぎ かなう)。 親曰く、願いが叶うの叶うの当て字だそうだ。 って、話逸れたが、一体誰だ? 聞いた事の無い声。 だが、凄く低くて格好良くて、微かに色気も感じられる。 ゆっくり振り返る。 「宮城」 ふわり綺麗に微笑まれ 「ぇ!?」 凄く驚いた。 何故なら、そこには俺の憧れの人が居たからだ。 どうして名前を知ってるんだ? 何故呼び止めたんだ? 浮かび上がる疑問。 だが 「今、良い?」 優しく問われ 「はい」 一瞬にして、脳内から消え去った。 暇かと聞かれ頷くと、今から一緒に夜御飯でもどうかと誘われ、迷わず同意した。 夜御飯だから帰れと言われていたけれど、1回位は良いよな? 帰宅を催促する電話を拒絶する為、携帯の電源を切った。
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