月夜の散歩家たち

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      ×  ×  ×      レタリックタウンで市電を下りた。     青い薄闇に包まれた春の夜に、色つきセロファンを透かし見るような街角がぼくを切なくさせる。     或る店の飾窓の前で、さっき見たばかりの子が佇んでいた。     ……月絵だ。     「やあ」   「ああ。令か」     涙を拭きながら月絵は言う。     「こんなとこで、また逢うなんてね。……どうしたの?」   「いや君こそどうした? 泣いたりして」   「ん。なんでかな」     ぐいと涙を拭う。     「きっとお月さまのせいだよ」         言われて見上げれば、なるほど素敵な青い月だ。    
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