月夜の散歩家たち

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    …… 店から出た月絵が振り向く。     「令。ありがと」   「うん」     すぐそばの街灯の下で、子供のようにビリビリと紙袋を破いた。     「見て」      絵本を開く。     庭園の噴水。紳士淑女が手をとって踊っている。       二人でその仕掛を見ていたら、……向こうから路面電車が走ってきた。眩しいライトが、光った。       思わず目を閉じた。       ……ワルツが聴こえる。  
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