月夜の散歩家たち

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    「そうか。そうだな。そうに決ってる。これは夢だ。何もかも幻なんだ」     そう呟くと月絵は、ぐっと顔を近づけて言った。     「べつにどっちでもいいよ。夢でも現実でも」   「そうかな……?」   「そうだよ。楽しければそれで。ね、私と目を開けたまま夢を見よう」   「うん」       どこからか桜の花びらが飛んできた。渦になってごうごうと辺りを吹き荒れる。     まともに花嵐を浴びて、思わず目を閉じた。    
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