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東の辺境にあるラトビア。
昔は賑わっていたが、今はのどかな村だと商人達に認識されている。
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狩人達の情報交換、クエストの受注、報告などを行う集会所。
「狩人登録終了しました。」
集会所の受付嬢であるミトは、村長の孫であるレイに頼まれ、狩人登録…いわゆるハンターの第一歩である手続きを済ましていた。
「ありがとっ!無理に言って…」
レイは、力強い碧色の瞳を持つ幼さの残る少年である。しかしながら、その瞳には何か惹かれるものがある。
「いえ。16歳という制限をクリアしてますから。しかし、村長は知っているのでしょうか?」
村長は集会所のマスターで、その人柄と狩人の実績から皆に慕われている存在だ。
「じっちゃんは知らないよ。」
やはり、と言うべきか。ミトは、そんなレイを注意しつつ、断れない自分に少し落胆した。
「村長にちゃんと報告はしてくださいね。」
わかった、と返事をしてから、レイは集会所から出て行く。
勢い良く出たせいか、中で話しをしていた狩人達は、レイが去った入口を見ていた。
集会所を出たレイは、村長の家で話をしていた。
話とは勿論、狩人登録の件だ。机を挟んで椅子に座る老人。村長は神妙な表情をしていた。
「そうか。登録したのか。」
反対する気は無いのでホッとしたレイ。
しかし、村長の顔を見る限り、素直に喜べないようだ。
「じっちゃん。勝手に登録してごめん。でも…」
「わかっておる。狩人になりたがっておったからのぅ…
やはり、奴の子じゃな。儂に何も言わずに登録してしまうとは、その行動力と素直に謝ったのに免じて許してやろう。」
そう言い、自慢の白髭を撫でる村長。
そんな村長にレイは感謝し、はしゃいでいた。
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